vol.52001.11.13

 

最近のSH-101の人気は凄い。オークションでも結構な値段が付いている。発売は確か1982年ぐらいだったと思うが、当時はRoland Juno-6やKORG Polysixなどの国産ポリ・シンセも登場した頃で、本格的なシンセというよりは「入門機」といった位置付けだった。事実、通信講座などでも使われていたと思う。値段も¥58,000と安かった。雑誌の広告ではミッキー吉野氏が起用されていて、ショルダーにして弾いていた。カラー・バリエーションも写真のグレ−以外にブルー、レッドがあり、なんともかわいいシンセだ。

SH-101の登場以前にRolandには同じくSHシリーズが存在したが(SH-2はすごく太い)、中身は全然違うようだ。翌年の1983年にはあのYAMAHA DX7が発売という、デジタル・シンセ時代の幕開けの頃の製品だ。当時、自分もSH-101など眼中になく、Juno-60にするかPolysixにするかと悩んだ末、DX7発売直前に登場したPOLY61を買った。どうしてもポリフォニックが欲しかったのである。

実際に自分がSH-101を手に入れたのは1990年のこと。大学の先輩がもういらないから、ということで喜んで頂戴した。今思うとなんとラッキーなことだろう。今では自分のほとんどの曲でSH-101を使用している。ベースに良し、シンセ・リードに良し、シンセ・パーカッションに良しと本当に大活躍だ。このシンセの音を言葉で表すならば、「硬くて太い日本人、でも心は繊細」、もしくは「小柄でヤサ男だと思ってたら、あなたって結構スゴイのねえん」という感じだろうか(なんのこっちゃ)。

そのサウンドを生み出しているのは第一にオシレーター。海外製の高級感漂うファットな音ではなく、ビシッとした、とても堅実で芯のある波形を発生してくれる(チップはカーチス製らしいが)。特にPULSE波形は素晴らしく、テクノ系の音楽にもピッタリハマるため、TB-303と並んで再評価されているのだろう。

第二にエンヴェロープ。特にAttack, Decayのスピードの速さは、パンチのあるサウンドを生み出すのに大きく貢献している。シンセ・ベースなどはフィルターのカットオフをエンヴェロープで素早くモジュレートすることが重要で、エンヴェロープの性能次第ではパンチのないベースしか作れないことが多い。KORG MS20などはその典型で、Attack, Decayのスピードが比較的遅いため、野暮ったい音になりがちだ。

そしてもうひとつ重要なことは、レガートとポルタメントのニュアンスが非常に音楽的だということ。昨今のPCMシンセの嘘ポルタメント、嘘レガートでは到底及ばない、楽器としての表現力がある。ミニムーグもこの点は特に素晴らしく、本物の楽器と呼べる数少ないシンセだと思う。やっぱりシンセはモノフォニックに限る。

もうひとつ付け加えておくと、フィルターも素晴らしい。-24dB/octのフィルターの切れもさることながら、レゾナンスを上げた際のフィルター発振音が非常に良い。KBD Tracking で確実に鍵盤の音程でコントロール出来るため、サイン波ベースなども非常にクオリティの高いものを作ることができるし、ノイズを足してカットオフをエンベロープでちょっといじってやれば、すぐにシンセ・パーカッションや効果音もできるなど、音づくりの自由度が非常に高い。

その他ステップ・シーケンサー、アルペジエーターもついているわで、本当に器用で良いシンセなのだ。自宅で使用するときは、シーケンシャルなパートで使用する場合、KENTON PROを使ってMIDIで鳴らすことも多いが、それ以外ではやはり手弾きでレコーディングしている。KENTONで鳴らすと、どうしてもマルチ・トリガーになってしまうため、レガート感が損なわれてしまうからだ。

また長くなってしまった・・・ではそろそろ各パラメータの紹介をしたいと思う。


 

*ちなみに、写真のとおりにスライダーを合わせると筆者がよく使うベース・サウンドになる。

フロント・パネル上部、シンセサイザー・パラメーター・セクション
■TUNE
チューニングですね。

■MODULATOR
・LFO/CLK RATE
・WAVE FORM: TRI/SQUARE/RANDOM/NOISE
いわゆるLFOセクション。ウェーブフォームには'RANDOM'があるため、S&Hのピコピコ音がいとも簡単に作れる。
また、'NOISE'は内蔵のホワイト・ノイズでの変調を可能にするもので、オシレーターにかけるとかなりエグイ音ができる。便利。
'LFO/CLK RATE'は後述のシーケンサー、アルペジエーターのテンポ調節の役割も持つ。

■VCO
・MOD
・RANGE: 16'/8'/4'/2'
・PULSE WIDTH
・PULSE WIDTH MOD SW: LFO/MAN/ENV
パルス幅をLFOの他、ENVでもコントロールできるのでオシレータ・シンクっぽい音色も表現可能。

■SOURCE MIXER
・PULSE (Volume)
・SAW (Volume)
・SUB OSC (Volume)
・SUB OSC WAVE: 1OCT DOWN SQR /2OCT PULSE
このセクションで始めて各波形の出力レベルを決める。PULSEとSAWの混ぜ具合が肝。

■VCF
・FREQ
・RES
・ENV
・MOD
・KYBD

■VCA
・ENV/GATE

■ENV
・GATE+ENV/GATE/LFO
・A (Attack time)
・D (Decay time)
・S (Sustain level)
・R (Release time)
レスポンスの速いエンヴェロープは最高。

コントローラー・セクション
■VOLUME
ボリウムです。

■MODURATION
・VCO (BENDER=X軸)...ピッチ・ベンド幅
・VCF (BENDER=X軸)...ベンドでカットオフをコントロール
・LFO MOD (MOD SW=Y軸)
・BENDER STICK
ベンダー・スティックによるモジュレーションの設定。スティックを押し上げるとピッチ・モジュレーションがかかる。

■PORTAMENTO
・PORTAMENTO (TIME)
・AUTO/OFF/ON
ちょこっとだけポルタメントをかけると、本当に気持ちイイ。

■TRANSPOSE
・L/M/H

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シーケンサー/アルペジエータ・セクション
■SEQUENCER
・LOAD
・PLAY
ステップ/シーケンサーで100ノートまで入力可能。結構使える。
'LOAD'ボタンを押すとデータ入力モードになり、1音1音鍵盤を押して入力。

■ARPEGGIO
・DOWN
・UP/DOWN
・UP
アルペジエーター。

■HOLD
シーケンサー入力時は'LEGATO'入力ボタンとして機能。

■KEY TRANSPOSE
シーケンサー入力時は'REST'入力ボタンとして機能。
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*付属のMODURATION GRIPを装着。ストラップを付けてショルダー・シンセに早変わり。(電池駆動可能)




間違いなく、このシンセは絶対に手放せない1台でしょう。発売当時は「入門機」としてのイメージが強かったが、それは裏を返せば「必要なものは全て揃っている」「基本性能が良い」ということでもあり、事実非常に使えるシンセサイザーだ。値段が安いのは1VCO-1VCF-1VCAであることや、匡体をプラスチックにしたり、基盤を工夫したりと大量生産のためのメーカーの努力の結果であって、音はとてもしっかりとしている。
DownloadコーナーにもSH-101のネタを用意しておいたので、一度音を聴いてみたいという人は是非どうぞ。今回特別にシンセ・ベースのAKAI MESAデータも用意。それでは。

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